639式英語発音メソッド

前回の記事 英国英語のRの発音方法 にて、「はっきり言って、前舌母音、中舌母音、後舌母音の聞き分け能力において、キャンディメソッドは英語ネイティブの耳の性能を超えているのです。」と書きました。 それについて、ご質問を頂きました。

「キャンディ・メソッドが英語ネイティブの行っていることを再現していると主張するのであれば、 英語ネイティブの耳の性能を超えるのはおかしいのではないか？」という内容でした。なるほど、疑問はごもっとも。
キャンディ・メソッドは大人の英語ネイティブの耳を超えることがありますが、英語という第一言語を身につけつつある幼児の耳を超えることはできません。 同等だと思います。
つまり、大人の英語ネイティブの耳　＜　幼児の英語ネイティブの耳 （＝　キャンディ・メソッド実践者の耳）と私は考えています。

１．大人の英語ネイティブ

大人のアメリカ人は2種類の発音方法のアメリカ英語のRを聞き分けできません。（というのが英語音声学での定説です） しかし、２つのRの仮想キャンディの位置が異なるので、キャンディ・メソッド実践者には違いを識別可能です。
だから、大人の英語ネイティブの耳 ＜ キャンディ・メソッド実践者の耳　です。

２．幼児の英語ネイティブ

幼児の英語ネイティブはどうかというと、たぶん、明確に２つのRの違いを識別できるでしょう。 そうでないと、親や周りの人が話すRを真似ることが不可能だからです。 親がアメリカのそり舌のRを使ってるのであれば、子もそのRを身につけるでしょう。親のRが盛り上がり舌のRであれば、子はそのRを身につけるでしょう。 これは２つのRの違いを識別できる能力がなければ、真似ることは絶対に不可能です。
従って、大人の英語ネイティブの耳　＜　幼児の英語ネイティブの耳 です。


大人の英語ネイティブの耳がなぜ幼児の英語ネイティブの耳に負けるのか？ それは成長するに従って、使われない不要な機能・能力を失うからです。一度、第一言語として英語の発音を 身につけた後は、もう音を真似る必要がありません。だから、どうやって発音するのかという知識自体も成長と共に消え失せます。 音を識別するための能力があれば十分ですだからです。 キャンディ・メソッドを使っているはずの英語ネイティブですが、彼らは「どの位置で音が鳴っているか聞こえるか？」という 考え自体ももはや思いつきません。彼らに英語の発音を教わろうとしても、そのような発想が出てこない。 彼らは何のたすけにもなりません。お手本を示すことと 正しい音になってるか判断できるの2点しか能力が残ってません。それはこういう理由からです。

そう考えると、英語音声学の創始者とも言えるダニエル・ジョーンズ博士が母音を前舌、中舌、後舌の３つに分類したのは奇跡です。 彼には子供の時の能力が少し残っていたのでしょう。あの発想に触れなければ、私、６３９もキャンディ・メソッドを開発できていません。

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