今回から新しいカテゴリを始めました。私、639式の独自理論による日本語発音講座です。

英語の発音ブログなのに、どうして日本語発音講座かって？

よく「日本語と英語では音素そのものが違うよね」と英語の発音を学ばれている方は言われますが、では、ずばり、日本語の「ア」とhutの母音 （SHORT-U)は何が違うのか？　そして、何が同じで日本人にはSHORT-Uが「ア」に聞こえるのか？という問いにズバリ答えられる人に出会ったことがあ りません。
英語と日本語とでは、どこが違うのかが分かれば、英語の発音時に、日本語の影響を少なくできると思います。

私が、この課題に挑戦してみます。

【注意】「639式日本語発音講座」は、日本語音声学に準拠していません。


変更履歴
2009/08/01：第２回へのリンク追加
2009/08/01：ロゴマーク追加
2009/08/14：フリーメソッドライセンスのロゴに該当ページへのリンクを貼った。
2009/08/19：ページタイトルを追記した。

---

「あ」、「う」、「お」

１．ボイストレーニング式日本語の母音の発音方法

ボイストレーニングで教えられている日本語の母音の発音方法は、だいたい下記の様なものです。

「愛netからおけ広場」からの引用
------------------- 引用　開始 ---------------
「ア」は母音の中で一番口を大きく開きます。ノドの力を抜き、静かに声を出し、出来るだけ
長く続ける。声を出しているうちに、口の開き方が小さくならない様に注意する。

「エ」は「ア」の発音から唇を少しづつ横に押し広げる。舌は下歯の裏側に軽く当て、中央部
が少し盛り上がる様な感じになります。

「イ」は「エ」よりもっと唇の間を狭くし、上下の歯の間に舌が入る位の幅にします。舌の先
端は下歯の裏側に軽くふれる。

「オ」は口を丸く開け、舌の中央から前にかけて浅い溝をつくる感じにします。

「ウ」は「オ」よりも更に口をすぼめます。
------------------- 引用　終了 ---------------


上述の様に、口を大きく開ける等、口の開け方、唇のすぼめ方、唇の形に着目した教授法です。
我々日本人が母音を発音してみて、上記と比べると、変な所は無いように思えますね。
我々は、普段、この通りに発音しているように思えます。

では、次のことを考えた事はないですか？
腹話術では、どうやって母音を発音しているのか？、と。

腹話術では、僅かに上唇と下唇の間に１ミリ以下の隙間を空け、他人には口を閉じていると見せかけて、言葉を話す技術です。従って、腹話術では上記の方法で日本語の母音を発音することはできません。口を大きく開けたり、唇を丸めたりできないからです。

では腹話術では、我々日本人が普段行っている発音の仕方と全く違う方法で発音しているのでしょうか？
いいえ、そんな筈はないでしょう。もし、そうなら、腹話術の言葉を我々が聞き取れる筈がないです。

日本語の母音の本当の発音方法は、上記の方法と、腹話術とに共通する何か、です。

日本語の母音を発音する上で、口を大きく開けたり、唇を丸めることは必須条件じゃないということです。

ここまでは宜しいですか？

---

２．639式　「あ」、「お」、「う」の発音方法

普段の我々が発音している日本語の母音と、腹話術で話されている日本語の母音に共通の何かが在るはずです。
この共通の何かが、本当の日本語の母音の発音方法です。唇の丸み、大きく開けた口などは、母音を発音するための何かをした結果であって、原因じゃない。そう思いませんか？

私（６３９）が試行錯誤した結果、突き止めた、本当の日本語の母音の発音方法を下記に示します。


下記の写真を見て下さい。

上あごの歯茎に水平に赤線、そして、下あごの歯茎に水平に赤線が引いてあります。
頬の内側の壁に垂直方向に青線、左右で合計２本引いてあります。





※フリー素材サイト「ASHINARI」の写真を使用しています。



６３９式日本語の母音の発音方法は、以下の３つの要素で成り立ちます。

• ２本の青線の距離
• ２本の赤線の距離
• 舌の状態・形

日本語の母音を発音するのに必要な条件は、たった、この３つだけです。
それでは、この３つの条件で、日本語の母音「あ」、「お」、「う」を表現してみます。

まず、「あ」、「お」、「う」に共通する舌の状態・形とは、舌先が下顎に接している、ということです。

次に、２本の青線の距離、２本の赤線の距離を表を使って説明します。

		２本の青線の距離
		＜	＝	＞
２本の赤線の距離	＝	う	う
	＞	お	あ

上記の写真は笑顔の写真であり、口を閉じた状態ではありませんが、この表では、２本の青線の距離、２本の赤線の距離は共に、口を閉じた状態を基準にします。

表の見方は、２本の線の距離が、口を閉じた状態の２本の線の距離と同じであれば「＝」、
口を閉じた状態の２本の線の距離より小さければ「＜」、
口を閉じた状態の２本の線の距離より大きければ「＞」です。

例えば、
「あ」を発音するには

• ２本の青線の距離が、口を閉じた状態と同じか、広くし、
• ２本の赤線の距離が、口を閉じた状態より広くし、
• 舌が下顎に接していて、浮いていない

状態にすれば、「あ」になります。

「お」を発音するには

• ２本の青線の距離が、口を閉じた状態より狭くし、
• ２本の赤線の距離が、口を閉じた状態より広くし、
• 舌が下顎に接していて、浮いていない

状態にすれば、「お」になります。

また、「う」については、一般人が普段話す「う」は、くすんだ黄色の部分の「う」です。
声優、アナウンサーなど、声を商売にしている方が話す「う」は、明るい黄色の部分の「う」です。
明るい黄色の部分の「う」の方が明瞭さがあります。「買う」、「噂」を発音して、そのことを確認して下さい。


この、639式の母音の発音方法が、普段の日本語の母音と、腹話術の日本語の母音の両方を説明可能か、検証してみましょう。

普段の「お」

• ２本の青線の距離が、口を閉じた状態より狭くし、
• ２本の赤線の距離が、口を閉じた状態より広くし、
• 舌が下顎に接していて、浮いていない状態ることにより、
• 結果として、唇が丸まる。

ボイストレーニング式「お」と一致します。


腹話術の「お」

• ２本の青線の距離が、口を閉じた状態より狭くし、
• ２本の赤線の距離が、口を閉じた状態より広くし、
• 舌が下顎に接していて、浮いていない状態にし、
• 上下の唇の隙間を１ミリ以下にして、殆ど唇を閉じているように見せかければ
• 他人から口を閉じている様に見えるのに「お」になる。

普段の母音は、２本の青線の距離と２本の赤線の距離と舌の状態を決められた条件にすることで、日本語の母音になり、そして、結果として、唇の形、口の開きに反映されます。

腹話術の母音は、同じく、２本の青線の距離と２本の赤線の距離と舌の状態を決められた条件にすることで、日本語の母音になり、そして、この３つの条件は口の中の出来事なので、唇および唇付近の皮膚で隠せます。
結果として、口を閉じているように見えるのに、日本語の母音が発音できます。
そんな都合よく、唇とその周辺の皮膚で隠せるかって？できますよ！
いつも我々がしているじゃないですか。食事をするときのことを思い出して下さい。
人に口の中の食べ物を見せないために、唇を閉じて食べ物を噛みますよね？
腹話術も、同じように口の中の様子を隠しているだけなんです。プロの腹話術師レベルになるまでは鍛錬が当然必要ですがね。


どうですか？　ボイストレーニング式の母音と、腹話術の母音、両方説明できましたね。

---

                                                              実践編第２回　→

[0回]