[3回]

１．発音方法

赤丸：仮想キャンディ　緑丸：スイートスポット

(1)舌が「デフォルトの形」になっているか確認して下さい。

※(1)の「デフォルトの舌の形」って何？と思う方は、「某スレの639の英語発音メモ」をダウンロードし、「２．１　舌のデフォルトの位置」を参照して、実践した後でキャンディ・メソッドを試して下さい。
但し、「２．１(3)」は修正記事を既に書いていますので、記事「舌のデフォルトの位置の記述の修正」 を読んで下さい。

 

(2)図１−１の緑丸部分だけに軽く力を入れ、水平方向の後方に引いてください。

• 緑丸は言わば、スイートスポットです。力を入れなくても舌を後方へ引っ張る事が可能なポイントです。
  スイートスポットは水平位置で奥歯、又は、奥歯から2つ目の歯辺りです。その位置の舌の部分に、このスイートスポットがあります。探してください。

• この母音は気道部で響く音です。口内で音が響くのではありません。口内に仮想キャンディ（＝「小さい空間」を作らないために、舌を後方へ引っ込めて発音する母音です。

• 英語音声学に詳しい方は、「この母音は舌の後部を上に挙げるのではないのか？」と疑問に持つ事でしょう。舌の後部を上に挙げるには、二つの方法があります。１．上に挙げようする方法。　２．舌を引っ込める方法。後者の方が遥かに楽なのです。やってみてください。

(3)上記(2)の状態で、声帯振動を発生させて下さい。

• 声帯振動を発生させる方法については、記事「声帯振動を発生させる方法」を参照して下さい。
• 舌と頬の内側の筋肉を全く少しも動かさないのであれば、「オ」でも構いません。要は上記（2）の状態のままで声帯が振動すればいいのです。但し、「ウ」で発音するのは絶対避けてください。この母音と「ウ」は全く違う発音方法なのです。「ウ」で発音すると、口内に仮想キャンディを作ってしまい、この母音ではなくなります。

• 「英語鼻」の方法で声を出していますか？　確認して下さい。
  ※「英語鼻」（旧：「最大の日本語訛りの克服」）って何？と思う方は、「英語鼻」の記事群を読んで実践した後でキャンディ・メソッドを試してください。

(４)注意事項

• 緑丸のスイートスポットだけに力を入れ、他の舌の部分、頬の筋肉は脱力して下さい。
• もし、舌を後方へ引っ張る際に、かなりの力を必要とする場合は、そこは緑丸のスイートスポットではありません。舌の筋力が足りないと思わないで下さい。スイートスポットを見つけられていないだけです。もう少し、緑丸のスイートスポットを探してください。

• （２）を行うと、頬と唇が勝手に動こうとしますが、力を入れずに成り行きに任せてください。

• この母音は気道と鼻で響く母音です。口の中で響く母音ではありません。最初の内は日本語の声の出し方の違いにとまどい、上手に発音できないかもしれません。その理由は、あまりの違和感のため、「英語鼻」を実践しているのにリラックスが解けてしまうからです。この音は口から出る音は少しで、鼻から殆ど音が出て当たり前だと認識して下さい。
  違和感のために、ためらってリラックスを解かないようにして下さい。

２．単語練習

(1)do　　 

(2)you 　

(3)food  

(4)two   

３．従来の方法では、どう説明しているのか？

例１）日本語の「ウ」より口を丸める。
例２）唇を強く突き出して長く発音する。

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口を丸めて「ウ」と発音すればいいの？

いいえ、違います。

「ウ」と とは全く発音方法が違うのです。
下記の図３−１と図１−１を比べてください。全く口内の状態は異なっているでしょ？


図３−１：日本語の「ウ」発音時の口内で響く空間



日本語の母音は唇付近の筋肉の形・緊張具合のみで音素を区別します。日本人には、「ウ」と は同じ様な音に聞こえるでしょう。しかし、「ウ」と は全く発音の方法が異なるのです。

【キャンディ・メソッド】第5回　概要（後編）にて書いた様に、前方に行くに従って空間の横幅も高さも狭くなっている場合に、日本人には「ウ」と感じます。

一方、上記１．で示した様に は気道部で響く母音です。音の多くは鼻から放射されます。しかし、１００％鼻から音が放射される訳ではなく、少量の音が口から漏れて出ます。口から漏れ出る音は、上記「ウ」の空間の形の特徴と同じであるため、日本人には も「ウ」と同じ様な音に感じます。

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唇を突き出して「ウ」と言えばいいの？

いいえ、違います。

「ウ」と とは全く発音方法が違うのです。

「唇を突き出してウと発音する」という方法は、原因と結果を混同しています。唇を突き出すと　の音になるのではありません。

原因：口内で音が響かない様に、舌を引っ込める。
↓
結果：歩くときに手を振るほうが歩きやすいのと全く同様に、舌を引っ込める時に、自然と唇を突き出した形になるし、また、そうした方が舌を引っ込め易い。

上記１．の発音方法で を発音し、その時の唇の様子を鏡で見てください。唇を少しだけ突き出した形に、自然となっているでしょ？これが普通の英語ネイティブが　 を発音する時の唇の形です。

この母音の最大の特徴は、できるだけ口の中で音を響かせない事です。

今度は、可能な限り頑張って、舌を強く引っ込めてみましょう。再び、鏡を見てください。英語教材によくある、大げさに唇を突き出した形になっているでしょ？　これが英語ネイティブが大げさに を発音した時の唇の形です。

従来の発音本に書かれている方法は「結果」だけを模倣しようとするものです。が であるための必須条件、原因について書かれていません。お分かり頂けましたか？