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639式日本語発音講座の理論編第1回です。
【注意】「639式日本語発音講座」は、日本語音声学に準拠していません。
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2009/08/01:ロゴマーク追加
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2009/08/14:フリーメソッドライセンスのロゴに該当ページへのリンクを貼った。
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日本語の母音は基本母音で説明できない
1.音声学では母音をどう捉えているか?
音声学では、様々な言語に共通する基本母音というものを定義しています。
イギリスの音声学者ダニエル・ジョーンズによって定められました。
基本的には、全ての言語の母音は、基本母音によって記述できるという考え方です。
基本母音は、
- (1)調音位置(=口内の何処で音が響いているか、何処で母音が作られているか)
- (2)唇の丸めの有無
- (3)下顎の下げ幅
例えば、後舌母音とは口内を前、中、後の3領域に分割し、そのうちの後の領域で音が響く母音という意味です。
図1:基本母音の調音位置 (http://www.phonetics.ucla.edu/より引用)
--------------------------- 引用 開始 ----------------------------
--------------------------- 引用 終了 ---------------------------
しかし、言語によっては、「基本母音」と完全には一致しないため、同じ発音記号(IPA)を使っていても、言語毎に少しずつ違いが出ます。
例えば、「基本母音」では、cutの母音、short-uは、非円唇後舌半広母音、つまり後舌母音ですが、英語では中舌母音です。
2.日本語音声学では日本語の母音をどう捉えているか?
日本語音声学でも、日本語の母音を「基本母音」を基準に定義しています。
図2:日本語の母音の調音位置(wikipediaから引用)
--------------------------- 引用 開始 ----------------------------
--------------------------- 引用 終了 ----------------------------
この図によると、
- 「あ」:中舌母音
- 「い」:前舌母音
- 「う」:後舌母音
- 「え」:前舌母音
- 「お」:後舌母音
3.日本語音声学の母音への疑問
私、639は日本語音声学の日本語の母音の考え方に大きな疑問を持っています。
(1)音が響いている場所が図2と一致しない
私の耳には、どうしても図2の調音位置に納得できません。
- 「あ」が中舌母音ですか?口内の前部から中部の領域で音がしていますよね?
- 「う」が後舌母音ですか?口内の前部で音がしていますよね?
- 「お」が後舌母音ですか?口内の前部から中部の領域で音がしていますよね?
皆さんも図2の調音位置に納得できますか?
(2)図2が正しいのならば、日本人が感じる英語の母音に矛盾が生じる
図2よると、
「あ」であると言っています。
- 口内の中部で音が響き、
- 下顎が下がっていて、
- 唇が丸まっていなければ、
英語の母音には、日本人の耳に「あ」に聞こえる母音が複数あります。それらの母音は、前舌母音もあれば、中舌母音もあれば、後舌母音もあります。
もし、日本語音声学の言うことが正しいならば、英語の中舌母音だけが「あ」に聞こえるはずです。違いますか?
日本人の耳に「あ」に聞こえる英語の母音と、「あ」との共通点は、唇が丸まっていないという1点しかないじゃありませんか?
つまり、日本人が、日本語の母音を聞き分けるうえで、調音位置(=どこで音がしているか)を判断材料としていないということです。
これ、外国語の発音を習得する上で、日本人にとって、非常に重要だと思いますよ!
図3:英語の母音と日本語の母音の調音位置(「英語・発音・語彙/英語耳」から引用)
--------------------------- 引用 開始 ----------------------------
--------------------------- 引用 終了 ----------------------------
(3)フォルマント周波数を見てみると
図4を見て下さい。フォルマント周波数のF1-F2図と言われるものです。
日本語の母音と英語の母音の領域がプロットされています。
難しいな〜と敬遠しないで下さい。2点だけ、気にとめて下さい。
だと、考えられています。
- 周波数F1の数値が高いほど下顎が下がっている。
- 周波数F2の数値が高いほど前舌母音、低いほど後舌母音
例として、「う」の箇所を見て下さい。F2の値は低く、フォルマント周波数からは、やや「後舌母音」気味であることが分かります。
他の、日本語の母音も、上述の2点を頭に入れて見ると、図2、図3と一致します。
図4:フォルマント周波数(ブログ「hirax.net」から引用)
--------------------------- 引用 開始 ----------------------------
--------------------------- 引用 終了 ----------------------------
フォルマント周波数は、コンピューターによる音声認識技術にも使われていて、実績があります。
従って、図4が示す、日本語の母音とF1・F2の関係に相関関係はあるのでしょう。
(1)、(2)で示した疑問とを組み合わせることにより、下記のことが導かれます。
- 「周波数F2の数値が高いほど前舌母音、低いほど後舌母音」という通説を適用できない言語(日本語)が存在する。
ここまでは宜しいですか?
(4)私(=639)の結論
- 欧米言語では、話者は母音の聞き取りにおいて、調音位置を判断材料(の一つ)にしている。
↓
- 調音位置を分別要素(の一つ)として、図1のような図と、前舌母音、中舌母音、後舌母音による「基本母音」が策定された。
↓
- 欧米言語の母音の調音位置と、フォルマント周波数F1、F2に相関関係が存在することが発見された。
↓
- 日本語音声学の学者が、「基本母音」の考え方を日本語の母音に適用しようとした。
欧米の音声学では、基本母音や特定言語の母音の調音位置を音声学者の耳で判断するが、日本語音声学の学者は、日本語の母音の調音位置を耳で判断できなかった。↓
- 日本語音声学の学者は、仕方が無いので、日本語の母音のフォルマント周波数を測定してみた。「周波数F2の数値が高いほど前舌母音、低いほど後舌母音」という通説から、日本語の母音の調音位置を決めた。
こういうことじゃないですか?
そうでないと、図2で示されている日本語の母音の、自称「調音位置」と、実際に我々が感じる音が響いている箇所の食い違いは、説明できません。
欧米の音声学を日本語に取り入れようとした時に、どうして、日本人の学者は「日本語の母音は調音位置で分別されていない」ということに気がつかないのですか?
真面目に仕事して下さいよ。
この勘違いが、日本人が欧米言語の発音を学ぶ上で、大きな足かせになっています。分かっていますか?
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